趣味の入門書(その1)「きかんしゃ やえもん」

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    twitterで、趣味の入門書についての話題があったので、しばらくそれに関する話を書いていこうと思う。

    極めて個人的な話になるが、子供を対象とした入門書のようなものは殆ど読んだことが無い。総花的な「のりもの図鑑」みたいなものを持っていた記憶があるが、とても入門書とは言えない。
    子供向けの趣味に関する入門書が刊行され始めたのは70年代中頃からのような気がする。それ以前は、趣味の入門書のようなものは少なく、大抵が絵本だったのではないかと思う。

    私が最初に買った鉄道本は、「きかんしゃ やえもん」である。1959年刊で、今でも売っているから凄い。絵本は息の長い本が多いんだね。



    現代の視点で見れば、「きかんしゃトーマス」のパクリであることは一目瞭然だ。だが、著者は阿川弘之氏で、挿絵は岡部冬彦氏という本格的なもの。

    中身は、老朽化した機関車のやえもんが、新型の電気機関車にバカにされ、頭にきて煙をまき散らしながら走っていたら、沿線火事を引き起こしてしまい、スクラップにされることになってしまう。その時、交通博物館の職員の眼にとまり、博物館で保存されることになったという物語。

    モチーフは1号機関車とのことだが、挿絵を見ると鉄道作業局A8タイプである。

    これが最初の本だった。出てくるのは、やえもんの他にお供の客車。レールバスの一郎と花子(最近買い直した本では、花子ではなく「はるこ」になっている。私の勘違いか、訂正が入ったのか)、そして憎たらしい電気機関車たちであるが、ヤードにはDD12のようなディーゼル機関車も垣間見える。DD12は茅ケ崎機関区で休車状態で保管されていて、よく見に行っていたので親近感を持った。



    ただ、この絵本のおかげで、幼少期はEH10が嫌いであった(苦笑)。憎たらしい顔してるよね(笑)



    当時は東海道線の辻堂駅沿線に住んでおり、就学前は母親や祖母に連れられて、辻堂駅の東側にあった大きな踏切(踏切員がいて、手動で踏切板を下げるタイプのもの)で、飽きもせずに電車を眺めていたそうである。

    その時代の東海道線といえば、111系の他は80系と153系の普通列車が中心。勿論、非冷房の時代である。寝台列車は一番遅い上りが8時台のあさかぜ、その後11時くらいに下りの寝台急行桜島高千穂が来て、日中は157系の急行伊豆が格上げで特急あまぎとなり、準急の153系が急行に格上げとなって、東海、伊豆、おくいずといったあたりが日中何本も走っていた。夕方には下りの寝台特急さくら、みずほが通った。はやぶさは18時台だったので、ほとんど見た記憶がない。

    貨物列車牽引の電気機関車はEF10、13、15、18、60、65、66、EH10と豊富に存在した。EF61も見た記憶がある。特にEF10は、EF53のようなリベット車体の初期型、丸い鋼製車体の中期型、角ばった後期型とバリエーションが豊富で、一番好きな機関車だった。
    辻堂駅で運転停車する貨物列車があり、それをじっくり見ることが多かった。

    たまにやってくるEF18は、前輪が2個でデッキが長く、とても恰好が良かった。これがEF58の最初の姿だと知ったのは、プラモデルの説明書きだったように思う。

    EF66はコンテナ列車専用のイメージがあり、これがブルートレインを牽引したらカッコいいのになあ、と思っていたものであった。貨車はコンテナ列車の他は、ほとんどが2軸の黒貨車で、とび色のワム80000は、まだ少数派であった。有蓋緩急車がことのほか好きで、ワフ21000が一番好きだった。

    客車列車の白眉は、午前中に南下するEF58牽引の桜島高千穂で、3両目に繋がっている小さい窓がたくさん並んでいる客車(スハ44)が大好きだった。昔から渋好みなのであった。

    日中、茅ケ崎機関区から来るDD13が、辻堂駅前の関東特殊鋼業に出入りしていたのだが、おぼろげながらC12がいたのも記憶にある。しかし、その関東特殊の構内に軽便機関車がゴロゴロしていたというのは全く知らなかった。残念無念。

    DD13は、そのうちDE10に置き換わり、時々DE11なんていう変わり者もやって来ていた。騒音対策で下回りにカバーが付いていて、一目で気が付いたものだが、それは随分後になってからの話だ。

    今にして思えば、さすが東海道本線というラインナップである。新幹線開業前は、ここに151系の特急こだまが走っていたのかと思うとワクワクしたものだった。残念ながら、その記憶は残っていない。

    茅ケ崎には相模線の気動車たちがおり、主力はキハ10と16、キハ30、35であった。ごく短期間、キハ20が入ってきたこともあった。この頃、茅ケ崎機関区には休車中のDD12が6両くらい放置してあって、これの写真はたくさん撮ったのを覚えている。写真を撮っていたら、職員がやってきて、怒られるかと思ったらDD13の運転台に乗せて貰ったということもあった。おおらかな時代であった。茅ケ崎機関区にはターンテーブルが残っており、救援車のスエ38というダブルルーフ3軸ボギー客車などもあった。

    これらの知識は全て実車を見て覚えたものである。急行の名前などは時刻表で覚えた。
    車輌分類記号は、交通博物館で購入した小冊子で覚えた。表紙に167系の頭が載っている薄っぺらい本であった。いわゆるコホナオスマカみたいな記号の名称とその分類である。これは一生懸命覚えたもんだった。

    その程度の情報量でも、上記のような車両形式とかを覚えるのに、本や雑誌は必要としていなかったように思う。ひとつだけ、子供向けの乗り物図鑑のようなものに、東北本線の急行「みやぎの」の食堂車の話が載っていて、それには憧れたものだ。食堂車に対する憧れは、おそらくここから来ていると思う。何の本かさっぱり忘れてしまったのが残念である。

    ただ、我々の時代は、こんなもんだけでも、充分何とかなっていたのだ。

    今は情報過多の時代で、何でも入門書が無いとダメみたいな風潮があるが、そんなことは無いと思うなあ。たった1冊の絵本だけでも十分満足できていたのだから。

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